ことん、と床にお盆を置いて、さよこ叔母は動きを止めた。

「さよこさん?」

 視線の先を追えば、畳に転がったショップカード。

 さよこ叔母の白い指が、角のよれたカードを拾いあげる。

「【Augasta】」

 懐かしそうに、さよこ叔母は目を細めた。

「これ、コウくんが?」

「ええ、まあ」

 至近距離から、さよこ叔母が優しい瞳を向けてくる。

「そう――穂波ちゃん、元気?」

 ごく自然に、なめらかに、さよこ叔母の口からこぼれた名前。

 ふいうちで、背中から殴り倒された気分。

 ひくり、と喉が鳴った。