「久しぶりの実家、そんなに居心地いい?」

 つまらなそうに、庭を眺める俺に、しよりがつぶやく。

「でも、実家に帰った『ドラ息子』を母さんが歓待するのも、三日までだと思うわ。

 もうそろそろ、ちょっとは働いてみたら?

 か弱いオンナのふたり暮らし、男手が必要なことが山のようにあるのよ」

 しよりの方が母親みたいに、口うるさい。

 きつい口調なのに、突然、避けていた家に帰ってきた俺を気遣うような響き。

 結局、しよりはやっぱり偉大な従姉だ。絶対に勝てない。

 そう思いながら、ちらりと、隣の部屋への襖を見やる。