いつの間にか、周囲はクレーターのように一定の余白ができている。

 クレーターの外からみんな、興味津々で俺としよりを見物していた。

 騒乱への期待に満ちた、顔、顔、顔。

「孤独だなあ…」

「ぁあ? なんかいった?」

 すごんだしよりに条件反射で、俺のぼやきは引っ込む。

「あのう」

 そこに、にょっと白い手が突き出された。

「発言、させてもらいたいんですけどぉ、よろしいですかぁ、先輩方?」

 ぎょっとした俺としよりの狭間に、うんしょ、と割り込んだのは、見慣れ始めたかわいらしげな顔。

「とりあえず、云った者勝ちのテリトリー宣言、おきたいんですけど。

 そんなにあたしのコウヤくんに、近寄らないでくれますぅ?」

 甘ったるい声での、突然の横やり。

 ぶりっ子じみた言葉に、でも怯みのないふてぶてしさ。

 ゆる髪を揺らした穂波が、そこにいた。