「コーヒーでいい?」

「あ、はい・・・
すいません」


サキさんと一緒にいる姿を見たせいか、
私を後回しにされたような気分になったせいか
そのまま帰る気になれず

バカな私は

この男の部屋についてきてしまっている。

何だか・・・

すべてがどうでもよくなってきて・・・

うまく思考回路が回らないというのが正直な所かもしれない。


「いーえ、どうぞ」

「ありがとうございます・・」

「んで?何 そんな沈み込んでんの?
彼氏に怒られるから?」

「それもあるけど・・・」

「うん?いいから話してみなよ。
そうそう、俺 女には興味ないから 警戒しなくても全然平気だしね。
あれほど顔良かったら
浮気絡みとか?
もしくは・・・・
暴力振るうとか?」


「暴力なんて・・
そんなんじゃなくて・・」


「浮気?」


「浮気というわけでもなくて・・」


知り合って間もない
敵対心を抱かれていた人に
なぜだか
サキさんの事を話してしまっている。

今の私は
きっと バカそのものなのだろう。


「何で さっき
殴りこみ行かなかったの?」


「殴りこみって・・・」

「だって、そのサキって女が
あの場にいたわけでしょ?」

「そうだけど・・・
妹的存在って言われてるから・・
その場で いろんな事言って
もし・・・」

「お嬢が その彼氏に
何か言われたらって?
傷つくの嫌なんだ?」

「そりゃ・・・
嫌だよ・・」