「春菜、どけ」
押しのけられるように
輝樹が前に立ちはだかり、
「こいつ、俺の。
何、お前ら 俺に
ケンカ売ってんの?」
「あ、いや・・・
1人かと思って・・・
すいません・・」
「ったく・・・・」
呆れた様子で
私の顔を覗きこみながら
「大丈夫か?」
「うん、ごめ・・・」
「こんくらいの事で
泣きそうなツラしてっと
まーた狙われるぞ。」
「輝樹は・・?」
「俺?俺が何?」
「さっきの・・・」
「あぁー・・・
さっきのガキ共か。
そもそも お前が原因だろうが」
「わ、私!?
何で?」
「いつまで経っても戻ってこねぇから 探し回って
あいつらが ちょうどトイレから出てきた所で
春菜の事聞いたら
まとわりつかれて だりぃ目に合ったんだろうが」
「あ・・・・」
「ほら、行くぞ」
「あ、うん・・」
外に出ると
店内とは全然違う静けさに
どんな音量で話していいのか
分からなくなるという
変な感覚になりながらも
輝樹と繋いだ手を離したくなくて
車に乗りたくないとすら思ってしまう現状。



