「マーキングしとかねぇと
また どっかのバカ男に味見されちゃ たまったもんじゃねぇよな」


独り言のように言いながら
私の前に詰め寄ると

「なぁ・・春菜」


真剣な表情・・・・


「な、何?」

何言われるんだろうと
緊張が走る。


「キスしていい?」

「キ・・・!?」

そんな至近距離で見つめられて
キスしていい?なんて聞かれたら
目合わすのすら恥ずかしくて
いいよ、なんて言葉が言えなくて・・・


黙って 頷いた。



「じゃあ、目瞑って?」




言われるがまま
目を閉じると
輝樹の香りと共に
唇が重なり

そのまま抱きしめられ
ドキドキする余韻に浸りながらも
輝樹の背中に手を回した瞬間


「っ!?」


首筋の鈍い痛みに
思わず目を開けると

「ほい、マーキング終了~!」


「もしかして・・・・」


「ん?どうかしたか?」


「その・・・
目立つ所に・・・」


「目立つ?あぁ、目立つな~ ははは
春菜ちゃん やっらしぃ~!はははは」


笑い事じゃなくて・・・・

恐る恐る 鏡の前に立つと・・・


・・・目立つ。

これは 目立つ・・・

はぁ・・・

こんな事しなくても
私は 輝樹の物なのに・・・

とか思いつつ・・・

少し 顔が緩んでしまうのも事実なわけで・・・


やっぱり、輝樹に
こういう事をされると
愛されてるのかな・・・なんて
自惚れてしまう。