「何、ニヤけてんの?
自分モテるわーって?」


あ・・・去川さんが
背後にいたんだった・・・。


「そういうんじゃないです!」


「じゃあ、何 そんなうれしそうなわけ?」


「別に・・・去川さんに言う必要は・・」


「へぇ、言うようになったね~?
あんだけ おどおどしてたのに
女は怖い怖い」


「なっ!?そういうんじゃ・・
ただ、あー言えたって思って・・」


「何を・・?」


「お断りの言葉を・・・」


「そんだけの事?」


「私にとっては
すごい事なんです!」


何なのよ・・・
さっきの 男泣きは
一体何だったわけ?


騙されたわ。ほんと・・・


「俺さぁ、やめようかと思って」


「やめるって何を・・?」


「職場」


「え!?何で!?」


「輝樹関係ばっかじゃん」


「それは・・・そうだけど・・」


「そのうち 正樹にも耳入ると思うし
輝樹と顔合わせるなんて 
二度とできないし・・さ」


「なんで?何で そこまで考えるの?
輝樹は・・・去川さんの事
今までと変わらず大事に思ってるよ?
そりゃ・・・去川さんが望んでる事とはちがうかもしれないけど・・・
このまま逃げるなんてダメだってば・・」


「逃げるって・・・
別に逃げるわけじゃないんだけど。
ただ、気持ち悪いなぁ・・とか思われてたら やっぱ 立ち直れないよな・・って」


「そんな事 輝樹が思うはずないじゃん!」

思わず 言葉に力がこもった。