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去川さんが家に来て
10分が経過しようとしている。

誰も口を開かないまま
時間だけが過ぎていく中、


「あ・・飲み物でも・・」


準備しようと立ち上がると


「いいから、座っとけ!」


怒った様子の輝樹の声に
思わず ビクッと体が揺れ
その場に また座り込んだ。


「うん・・・」


そんな張り詰めた空気の中
去川さんも輝樹の方を見ようとせず
ただ、うつむき一点を見ているだけだ。


「なぁ、トオルさ?」


輝樹が重い口を ようやく開き
去川さんの方を ただ睨むように見つめている。


そして、去川さんも
輝樹と目を合わせようとしないままだ・・・


「おい、ツラ上げろよ?」


そう言われ、ようやく
顔を上げたけれど
唇が小刻みに震えているのを
噛み締めるようにしていた。