何気なく携帯を開いてみた。


「ああっ!」


あたしはいきなり大声をあげた。

「なんなんだよ」

「だってバイトまでもう時間がない
って思ったらつい・・・」

「えっ・・・まじで?やばいな。
走って行こうか翠ちゃん」


立ちすくむあたしに茅速さんが
手を差し出してくれた。


「はいっ」


あたしは嬉しさのあまり、
笑顔でその手を強く握ってしまった。


「あははっ、じゃあ行こうか」

「いってらー」


あたしと茅速さんは同じところで
バイトをしている。

まあ、仕組みなんだけど・・・。

あたしは、
ずっと茅速さんに恋してるんだ。


「ん?俺の顔なんかついてる?」

「いえっ、綺麗なお顔ですっ」

「ブハッ!ありがとうございます」