それが最後だった…。
"カレ"は正体不明の事故に巻き込まれた。
道路で車がぶつかる瞬間、急に車が消えた。
だけどそんな非科学的なことは、誰も信じなかった。
それどころか、事故があった瞬間から"カレ"の存在が消えた。
次元を飛んだせいなのか…何処にも居ない。
誰も覚えていなかった。
覚えていたのは私だけ。
写真すら残っていなかった…。
だから…探した。
事故の後、落ちていたチラシを見つけた。
よく見れば異次元のモノ。
そう、チラシは"ココ"のものだった。
だから"ココ"に来たのに…。
"ココ"では普通に行われている時間旅行。
だけど私の居た所ではまだ実験段階だった。
実験に携わる両親に無理を言って、被験者になった。
両親には止められたけど。
もう一度"カレ"に逢いたかった。
だけど…どこにもいない。
頑張って輝いたけど…
星月夜は時々だからいいの。
お月様が居なくちゃ頑張れないよ。
「そろそろ帰るか?」
「もう…??」
「もう結構遅いぞ?」
そう言ってヤトが見せてくれた時計は23時だった。
ちょっと考え事し過ぎかな。
「そうだね。」
帰りたくないけど立ち上がりもう一度空を仰いだ。
今日は綺麗な星月夜。
"カレ"と約束した時と同じ空だった。
「また…」
ヤトは空を仰ぎながら呟いた。
「また??」
「何でもない。」
「なんだ…。」
「そんな残念そうにするなよ。」
頭をポンポンとする。
本当に"カレ"みたい。
「じゃ、また連れてきて。」
「…はいはい。」
溜息を付くところまで悔しいくらいに似てるのに…。


