「あれ?ヤト一人?サアラちゃんは?」
時空管理室に戻ると椅子にもたれているマサキが顔を上げた。
「帰った…。」
「えー困るなぁ…。まあいいかぁ。」
マサキは腕を組みながら悩んだフリをして、また椅子にもたれた。
そもそもサアラが"ココ"の人間ではないという事をこんな奴が知っていて、俺が知らなかった事も少し腹立たしい。
俺の方がサアラに振り回されていたのに…。
「…ヤト、なんか機嫌悪いの~?」
「は?」
「…ほら、機嫌悪い…。機嫌悪いヤトこわ~い…からサボってくるね~。」
「……。」
―…バタンッ。
そう言って、適当な言い訳を付けて本当にマサキは出て行った。
(バカバカしい…。)
どうせ時空を不法に超える奴なんて今時めったにいない。
マサキも居ないし、少し放棄したところで怒られはしないだろう。
機械の電源を切って、俺も部屋を出た。
確かに俺は今、機嫌が悪い…。
だけど原因も解らない。
ただ、サアラの顔と星空が頭から離れて行かない…。
(なんだって言うんだ…。)
こんな気分は久しぶりだった。
まるで、初めて"ココ"へ来た時のような、そんな落ち着かない気分だった。
俺は慣れた道を抜けて、自然といつもの場所へ来ていた。
そこで足を止めた…。
「サアラ……?」
ここに居るはずがない。
そもそも、この場所だって前に一度連れて来ただけだった。
だけど。
あの金色の髪を見間違うはすがない。
星の中でも見つけられる。
俺はいつだって見つけて来たんだから…。
声に気付き、金色の髪が少しだけ揺れて、彼女は振り向いた。
「ヤト……。」


