しばらくすると、昔のサアラが現れた。
金色の長い髪をなびかせて、"ココ"にはない服を着ている。

(なんだろう…。まただ…。)

あの時は気のせいだと思っていた。
最初にサアラを見た時、何かが浮かんだ。
懐かしいような、優しい…星空のような記憶のかけら。

"ココ"に来たばかりのサアラを見て、不意にまたそれが浮かんだ。

「私…帰るの。だから…見ておきたくて。」

「……。」

いつになく真剣なサアラ。
何でだろう。

どうしてこんなに…
俺は戸惑うんだろう…。


そのまま見ていると昔の俺が現れた。


『お前か、不法侵入者は。』

『……サク…?』

『え……?』

そうだった。
そういえば、サアラにそう呼ばれた瞬間、何か…。

「ヤトに初めて逢った時、私、本当にサクだと思ったんだ。」

考え事をしているとぽつんとサアラが呟いた。

「サク…?」

サアラは俺に向き直りもう一度言う。

「私の大切な人。私、サクを探しに来たの。」

「探しに?」

「うん。ヤトには黙ってたけど…時間も越えて来たんだ。」

「……。」

だからいつもマサキに…。
そう考えれば辻褄が合う。
マサキが俺の事をサアラに話したのもそれが原因なんだろう。

「だけどもう戻るの。」

「……。」

「このままじゃ私もサクを忘れちゃうから…。」

そう言って、サアラは力なく笑う。
なんでだろう…遣る瀬無い。

こんなサアラは見たくない。

「またね。」

俺が戸惑う間にサアラは姿を消した。