逃げろ

親友の訴えを理解したと同時に右手からの殺気に気付いた。

俺の視線がそちらに向き、殺気を放つ赤髪をなぞり、目を捉えた。
すると赤髪が嘲笑うのだ。

それに気付いた瞬間、
俺の体に何Gもの負荷がかかる圧迫感。
臓物が位置を下げ、血液が指先のほうに引いていく蒼白感。

捕食者のようにも見える赤髪は飾っていない爪をなめ、平坦で冷たいコンクリートのような無機質な声でささやく。

「人が 説明 してるのに」