「人が 説明 してるのに」

小声だった。
起伏に乏しい無感情な小声。
こちらを向いた赤髪がぼやいていたようだ。

そういえば心地よい感覚を与えてくれていた声が聞こえない。
どこだろう?
甘く美しい声の持ち主を探すため見渡したがよく見えなかった。

まだ夢見心地で脳と視界が陽炎のようにかすんでいる。ニンニクどうたらの寝言は聞こえない。