乾いた音が響いた。夏穂の顔が弾かれこちらを向く。その顔は力なく、目を閉じていた。 頭のカチューシャが飛び、乾いた音の後を紡ぐ。 「ごめんなさい……」 夏穂の小さな泣き声にも取れた。謝罪を意味する語だった。だが夏奈の手は往復し、夏穂の顔は弾かれた。 表情は見えない。