「水野」 歩き出そうとする私を、後ろから蒼が呼び止めた。 私は口角が上がったままの口で、振り返る。 「ん?」 「悪いけど、俺ちょっと撮りたいとこあるんだ。今日は水野一人で行けるか?」 私は思っても見なかったことを急に言われて、驚いた。 だって今まで写真を撮る時はずっと一緒に行動してたのに────── なんで急に? でも、そんなこと聞けないのは分かってた。 蒼もそろそろ一人で集中して撮ったほうがいいかもしれない。 きっとそうだ。