上りきった目の前には、水野 そして──────あいつがいた。 「……蒼」 小さな声で俺の名前を呼ぶ水野の目は、昨日ほどではないけど、やはり怯えるようだった。 俺は拳をキュッと握り締め、息を吸う。 「───昨日は、悪かった」 その言葉に水野は、呆然としながらも、少しずつ安堵の表情が広がっていった。 「ううん…蒼、私こそ……」 そんな水野を見て安心した俺は、その隣にいた人物に目線を向けて言葉を続ける。