そう言って、リングから直線の7mくらいの位置に、登稀先輩は立った。 そしてもう一度、私の方を向いて口角を上げる。 「今度はちゃんと、撮れよ」 私はその言葉にハッとした。 慌てて、今日は一度もシャッターを切っていないカメラを両手でギュッと握り締める。 手には、徐々に汗が出てきた。 慣れているはずなのに いつも以上に、緊張している自分がいる事はもう分かっていた。 右目でレンズを覗いて先輩の姿を確認し、ゆっくりとピントを合わせる。