「梓!」 不意に名前を呼ばれて、もたれ掛かっていた柵から体を起こす。 「今の、ちゃんと撮ったか?」 登稀先輩が、顔を少し上げて、こちらを見て言った。 「え」 無論、見ていたはずも無く、けれど私は咄嗟に嘘を吐いた。 「も…ちろん!すごかったですね!!ちゃんと撮りましたよっ」 「じゃあ見せて」 そう言うなり、先輩はボールを手に掲げたまま、すぐさま階段を上ってきた。 昨日と重なる、この場面。