家にある一本の桜の木も満開だった。

「慎也の記念樹だよ」
桜の木を出掛ける前に眺めていたら、お父さんが言った。

「慎也の?」

「うん」

慎也の記念樹は桜だったんだ。

先月、慎也の誕生日だったけど…慎也は16才の誕生日を迎えることが出来なかった。


慎也と過ごした時間はたったの半年。

でも、私にとってかけがえのない時間。



桜の花びらが1枚落ちた。
近くのベンチに座って、空を見上げた。

きれいな青空。


慎也との時間を思い出す。