医者が慎也に近付き、時計を見て、死亡時刻を看護師に伝えた。
看護師はそれを記入していた。
私たちに頭を下げ、部屋を出た。

私は事務的な流れをただ見ていた。


お父さんと涼子さんは泣き崩れていた。

私は泣きながら、自分の部屋に戻った。


机に置いてある携帯のランプが光っていた。

賢人からの着信メールを開いた。

‘明日、一緒に行くよ。何時頃がいい?’


私は携帯を持ったまま、泣いた。


しばらくすると携帯が鳴った。

通話ボタンを押す。

「もしもし…真那?返事ないから心配したよ。不安になっているの?」
心配する賢人の声は優しかった。

私は声が出せなかった。

「どうした?泣いてる?」

答えなくちゃと思うけど、言葉が出ない。

「真那、そっちに行こうか?」

「賢人…慎也が死んじゃった…」

「えっ…やっぱりそっちに行くよ」

「ううん、大丈夫…明日一緒に行こう。朝迎えに来て…」



眠れない夜だった。