「ケント~真那ちゃんを大事にしろよ」

「分かってます」

「俺、まだ仕事あるからまたね。後で慎也のとこ行くね」
晴斗さんは走って行った。


「家まで送るよ。家族の人みんな待っているだろ?」

瀬尾先生に手を引っ張られた。


「ただいま」

「おかえりなさい」
涼子さんが玄関に急いで来た。

「瀬尾先生、良かったらあがって?」
涼子さんがスリッパを出して勧めた。

「おじゃまします」


みんなでリビングに行く。

ちょうどお父さんも来た。
最近は慎也の容態が不安定なので、家で仕事をすることが多くなっている。

「真那、どうだった?」

「分からない」

「まあ、そうだな。でも、どんな結果でも真那が頑張ったことには変わりがない。お疲れ様」
お父さんは優しい顔で微笑んだ。

「あの…」
瀬尾先生が恐る恐るお父さんに声を掛けた。

「ん、瀬尾くんには本当に世話になったね。ありがとう」

「いいえ…」
瀬尾先生は恐縮していた。