「はい、時間です。鉛筆を置いてください」
試験官の人が言った。

終わった。

前を見て、試験官の一人を見てビックリした。
従兄の晴斗さんだった。


受験生が退場するのを見送っていた。

私もカバンを持ち、出口へ歩いた。

「真那ちゃん、お疲れ様。どうだった?」
晴斗さんは私に気づいた。

「分からないです…」
本当に分からない。
自信がない。

「大丈夫だよ。チラッと見たけど埋まっていたじゃない?」

「えっ?」

「あれ?俺が横通ったの気付かなかった?」

「全然」
首を横に振った。

「ハハッ、眉間にしわ寄せて真剣な顔してたものね」

「えっ…」
思わず眉間に触った。

晴斗さんはまだ笑っている。

「お、ケント先生が来たよ」
晴斗さんが見る方向を私も見た。 

「お疲れ~」

「心配でわざわざ来たの?」

「晴斗さんもお疲れ様です。心配もあるけど、会いたくて…」
瀬尾先生は照れながら笑った。