涼子さんも立ち上がった。

「良かったら、お夕食をご一緒にいかがですか?」

「ありがとうございます。でも、今夜は主人と約束しているのでごめんなさい」


お母さんを私は車まで見送った。

「帰る時間決まったら連絡ちょうだい。空港まで行くから」

「うん、またね」

お互い手を振って、別れた。



やっぱり別れるのは寂しい。

とぼとぼ歩いていると、2階の慎也の窓が開いてるのに気付いた。
慎也が手を振っている。
ううん…手招きしている?


慎也の部屋に行く。

「呼んだ?」

「うん、外見たら真那姉がなんか落ち込んでいるように見えたから」

「落ち込んではいないよ。ちょっと寂しいなって思っていただけ」

「また絶対会えるよ。生きている限り」


生きている限り…

優しく笑う慎也の顔は少し寂しそうだった。