バイトの時間だ!やばい!遅れる~!

外に出て、玄関のドアのカギをかける。


「恐れ入りますが、上原真那さまでいらっしゃいますでしょうか?」
突然かなり丁寧な言葉で話しかけられた。


えっ?誰?

知らない人…40代半ばくらいのスーツを着たおじさん。

「はい、そうですけど?」


何?

何で私の名前を知っているの?


「加賀見慎一という名前はご存じでしょうか?」

加賀見慎一…

…どこかで聞いたことあるような?



「真那のお父さんの名前は加賀見慎一って言うのよ」

幼い頃にお母さんが教えてくれたのを思い出した。