彼が、恋をしない理由。


「私ね、隼人のことは好きなんだよ?昔から」

私が聞こうとすると、その前に凌が答えた。
清々しいほどの笑顔を見せて。
でも、すぐに表情を暗くした。

「でもね」

「うん?」

「私そこまでバカじゃないし」

「ばかって?」

「聞いたことないでしょ?噂」

目に光がないようにただただ、言葉を発する凌に恐怖さえ感じた。
もちろん、私は噂なんて聞いたことはない。

「噂って?」

「隼人ね、女癖悪いの。彼女何人いるかわかんない」

「でも・・・!」

「でも、じゃないの。もしものことがあったら、誰も責任取れないんだよ」

「素直になろうよ?」

「素直になっちゃいけないときだってあるの!!」


それだけ言い放って、凌は屋上を出て行った。