彼が、恋をしない理由。


お兄ちゃんの大会があるって言って、私も強制的に見に行かされたことがあった。
私は朝から嫌だ嫌だと騒ぎ立てた。
でも、結局連れて行かれてしまった。

私は客席で、じっとしていることなんてなかった。
お兄ちゃんの邪魔しに行こうかと思った。


それから幾度となく、陸上を見に行かされた。

それから数年経ったある日のこと。
私はまた、陸上の大会を見に行くことになった。


見に行くのは久しぶりで、お兄ちゃんの最後の大会だとか。


「続いての競技は・・・」

競技紹介のアナウスがなった。
男子のリレー。

お兄ちゃんの所属するチームもいるらしく、お兄ちゃんも声援を送っていた。


・・・遅いじゃん


お兄ちゃんのいるチームは最後から2、3番目。
隣に座るお兄ちゃんを見ると、まだ諦めていない様だった。

「いっけぇ!山田ぁぁっ!!!」

山田?

アンカーにバトンが渡った。

すごいすごいすごい・・・・・!

私は息を飲んだ。前を走る人を次々にぬいていく。