彼が、恋をしない理由。


「何してたの?」

「ん~?世間話?」

「ふぅ~ん」

凌は、屋上の手すりにもたれかかって誰もいない校庭を眺めた。
私は、凌の隣に並ぶ。

「ねぇ、凌?山田先輩に告られたのって本当?」

「え!?・・・・ん~ホントだね?」

しばし驚いた表情を見せたが、すぐにいつもの顔になって平然と答えた。

「なんて答えたの?」

「すこし、考えさせてって」

「山田先輩のこと好きなの?」

「うっ」

ここで、凌はとても嫌そうな顔をして、私がいる方と反対の方向を向いた。


「ねぇ、私に教えられないようなことなの?」

「そんなことないっ」

「じゃあどうなの?」


はぁ。。。とため息をついたあと、手すりから離れて
私に背中を向けたまま話しだした。

「私、最初はね・・・」

━━━━(ここからは、凌目線で)

私がまだ小さかったとき。
私のお兄ちゃんは、私よりも一足早く陸上を始めていた。
陸上をしているときのお兄ちゃんはとても楽しそうだったけど、お兄ちゃんは決して足が早いわけじゃなかった。

優しくて、私と遊んでくれるお兄ちゃんが大好きな私は、「りくじょう」が大嫌いになった。お兄ちゃんだけじゃない。
お母さんも、お父さんも、みんなみんな。お兄ちゃんのことばっかりで、家族も大嫌いになった。