彼が、恋をしない理由。


「じゃあ、俺らも座ろうかな」

「はぁ!?俺もかよ」

「当たり前!はいはい、座る!!」

バンバンと椅子をたたいて、無理やり座らせる。
凌は、私の隣に来た。

「みんなは、何部に入るの?」

「俺、陸上部」

「私はマネやろうと思うんだ」

私の問いかけに対して、素早く奏くんと凌が答えた。
蓮が答えなかったので、凌が「蓮くんは?」と聞く。

「俺は・・・?ん~陸上かな?」

「蓮って陸上やってたんだ!?」

私の知っている蓮は、陸上をやっていなかった。
スポーツはなんでもやっていたけど、主に野球とかサッカーとかだった。

「まあね?」

「あれっ?さっき、俺様の活躍がどーのって言ってなかったっけ!?」

わざとらしく蓮に言う。
蓮はめんどくさそうに、頭をかいて下唇を噛み目線を逸した。

きゅんっ

この、仕草。
私は、蓮のこの仕草が好きだった。
あ、過去形になった?
久しぶりに見たその仕草に、私は胸が熱くなった。
あぁ、私は今蓮の近くに居るんだ

そう実感したら、突然涙が出てきた。

「い、彩葉!?」

「あ、えっ、ごめん!」