それは、見たこともない。 勇気の顔だった。 階段の所に寄りかかって、今にも、倒れそうなどんよりとした顔。 「何これ…?」 「さっきの事だよ。」 あぁ、太一は勇気と同じクラスだから、見てたのか。 「お前が走って行った後、追い掛けたみたいだけど、諦めて、あそこ座ってる。さっきから…」 あの場所。 高校合格して二人で喜んだ場所。 偶然かもしれないけど… 嬉しい…。