「タオル、置いとくね」



ドアの向こうで、汗を流す由斗に声を掛けると、「サンキュー」と聞こえた。

パンを焼く為、すぐに脱衣所を出ようとする。



「――花音」



でも、呼び止められた。

シャワーを浴び続けてる由斗。



「何?」



ドアに近付き、返事を返す。



「俺、これで負けねぇから。見ててくれるか?」



前を向いた由斗に、私の答えはただ一つ。



「見てるよ」



今までの私とは違う。

由斗を、ちゃんと見て行く。