お馴染みのサイレンが鳴り響く甲子園球場。 いよいよ、最後の夏が始まった。 応援団の声援を聞きながら、一番前の席を3人で陣取った。 元々は1年女子が座ってたけど、新太が替わらせた。 …こいつ…。 ただ者ではない。 「花音、鹿波は大丈夫なのか」 「え?」 「あいつ、打撲じゃねぇよな」 「……さぁ」 打撲じゃない。 けど、本人が知られたくない事を、いくら兄貴でも、私は言わない。