浮かれながら球拾いを始める私に、突っ立ってるだけの兄貴が白けた目を向けて来た。

グランドを見渡して、激を飛ばさずに、優しく指導する兄貴に慣れて来た今日この頃。

ほぼ毎日、練習に付き合ってるだけに、当たり前か。



「鹿波コーチ」



「何だ?」



「ボク、甲子園に行けるかな?」



ピッチャーを目指す3年生の子が、由斗に声を掛けた。

もう“甲子園”という夢を描いてるなんて、応援したくてしょうがない。