「1度しか会ってないから顔も曖昧だけど、まさかね…」



「竜也君に話したいけど、血走りそうだね」



クッションを抱き抱え、帰りたくないと思いながらも、母親の笑顔が脳裏を過ってしまう。

お姉ちゃんを真ん中に、布団に入っても寝返りばかり。

「寝れないの?」と、頭を撫でられても、動悸がする。

私は右手で左手を包み込み、何とか気持ちを落ち着かせた。