「私が刑務所から出てくるのを、待ってたようなタイミングだったし……」

安本は実際、名波の出所を待っていた。
名波に見せたかったのだ。
自分が彼女の代わりに遂げる、復讐を。

「だから、私に関わってたら、加原さんも危ないかもしれないと思って」
「え?」

突然出てきた自分の名前に、加原は驚く。
名波は、前を向いたまま。

「それで全部話そうって思ったんです。聞いたら、私と関わりたくなくなるかなって」
「……えっと、それは、あの」

それはつまり、あの夜の名波の告白は、加原のためだった、ということだろうか。

自分を陥れた鈴木たちを、本気で恨んでいるという、死んでしまえと思ったという、あの言葉も。
すべて加原を遠ざけるためのものだった、ということなのだろうか。