ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……

だって、来てからそんなに時間も経ってない。


「え、どうしたの? お昼しないの?」

「今日はもうお帰り」


子どもに言い聞かせるように、丁寧に同じ言葉を繰り返すと、優雅な仕草で手のひらでドアを指し示した。


「……車で送ってくれないの?」

「ちょっと、急用ができたから。

悪いけど、今日はバスで帰ってくれる?」

「……?」


(急用って何……?)


「じゃあ、また電話するからね」


やさしい笑顔で、突然穏やかに追い出されて。

あたしは戸惑いながらも、智弘さんのマンションを出た。


(どうしたんだろう……)


あんな風に言われたら、いったん帰るしかないじゃない。

わけがわからず、あたしは公園に足を踏み入れた。


久々に通る、公園の道。