ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……

「一見どこもおかしくは見えないんだけどね。

心のどこかで何かが折れてしまった、そんな感じで。

誰に対しても心を閉ざすようになって、何よりも描く絵がひどく病的になってしまった。

あんな絵を描く人じゃなかったのに」

「……うん」


暗い、歪んだ絵。

狂おしい、今にも爆発しそうな狂気をはらんだ、黒川さんの絵が脳裏に浮かんだ。


「なんせ美男美女あふれる芸能界だからさ。

どっかの俳優と一晩浮気しただけなら、兄貴も何とか耐えられたかもしれない。

ドラマで恋人役になったりしたら、変な雰囲気になってもおかしくないしね。

……でも、彼女がそのまま死んでしまったから、修復のしようがなかったんだ。

兄貴の時間は、そのときからずっと止まってるような状態なんだよ」

「……」

「柚希ちゃんを最初に見たとき、てっきり兄貴が連れてきた子だと思った。

秋月レイに似てるから……ってね。