ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……

「……ねぇ、もしかして」


あたしは思わず後ずさりながら、つぶやいてた。

驚きのあまり、言葉がなかなか出て来なかった。


「まさか、あなたが、白波瀬薫さん……?」


(うそでしょ……)


女の人だと思ってた。

だってあんなに繊細で、美しい……


人の気配にあわてて振り向くと、部屋の入り口に見知らぬ美青年が立っていた。


(わ……)


「お待たせ。財布みっけた」


ほがらかな明るい声。

にっこり微笑んで、財布を顔の横でヒラヒラ振って。

絵のようにきっちり整った中性的で繊細な顔を、くしゃっと乱れた長めのくせ毛がふちどっていた。


なぜか頭に“北欧”という単語が浮かぶ。

色白で全体的に色素の薄い、風がそよぐような清涼感、透明感。