ドキドキしながら、あたしは見ていた。

草むらから出て来たのは……


黒ネコだった。


「……なんだぁー。ネコかぁー」


あたしは、ほっとして地面にペタンと座り込んだ。


「おい、娘。大丈夫か?」


……え?


声がした。


しかも、男の人の。

辺りを見回しても誰もいない。