見馴れた近所の道を走り抜ける。しばらく帰らないかもしれない道を、少しだけ目に焼き付けた。 遠出するなんてよくあることなのに、こんな風に少し不安になるのは幽霊と一緒だからなのかもしれない。こんなに行動的になるなんて、自分でも少し驚いている。仕事を放るなんて今までじゃありえない。 「ねぇ、左之」 「ん?」 「よかったら聞かせてよ。左之の生きてた頃の話し」 「つまんねぇよ」 「いいの。新撰組のこと何も知らないんだから教えてよ」