「真沙美、おい、返事しろって。聞こえてないのか?」

「聞こえてるよ」

 ずっと話しかけてきていた左之にようやく反応をした。

「なんだよ、聞こえてるなら反応してくれよ」

「店の中で反応したら変に思われるでしょう?」

「はぁ、よかった」

 左之は安堵したようなため息をついていた。

 ずっとこんな風に話しかけていたんだろうか。誰にも気づかれることなく、たくさんの人がいる中たった一人で居たんだよね・・・。そんなことを考えるとぞっとした。