「そうと決まれば善は急げだね。左之行こう」

 踵を返し、店へと向かった。階段を駆け下り、勢い良く店のドアを開けると忙しそうに、皆動き回っていた。

「あっ、真沙美さんどこ行ってたんですか。探してたんですよ」

 いくつかのグラスを持った従業員が、慌ただしく話しかけてきた。

「ごめん、オーナーどこにいるかな?」

「多分部屋にいると思いますよ」

「ありがとう」

 聞いたあと、すぐさまオーナーの部屋に向かった。コンコンとドアをノックするとはいと短い返事が返ってきた。