少し間があいたあと、左之は再び話し始めた。 「あの頃の俺はこの傷を勲章のように思ってて、この腹は金物の味を知ってるんだーとか酔うと自慢してたんだ」 「ふふっ。なにそれ」 「おかしいだろ?でも俺はいつでも死ぬ覚悟があるんだって、見せ付けた気がして誇りに思えたんだ。まぁ、実際は死に損ねなんて陰では言われてたみたいだけどな」 何かを思い出す度に左之は嬉しそうに微笑んで、懐かしんでいた。 「それが愛媛に居た時の話し?」 「愛媛?・・・あぁ、伊予に居た時だ。それから少しして俺は脱藩したんだ」