「痛かった?」 「痛かったさ。でも、その時は腸煮えくり返ってたからそんなこと気にならなかった。実際傷はそんなに深くなかったしな」 「腸煮えくり返ってた?」 何にそんなに腹を立てていたんだろう。 「そう。目上の人間に喧嘩ふっかけられてさ。切腹の作法も知らぬくせにーとか下司野郎がって言われてな」 「それだけで?短気すぎるよ」 「本当だよな。あの頃は短気だったし、命なんて粗末に扱われる時代だったからな」