幽霊の思い出話


「えっ、何?違うの?」

「はははっ、いや、ははっ、あってるよ」

 何がそんなにおかしかったのか、うずくまるようにして笑ったままだった。

「はー、そんなこともあったなぁ」

 笑い終えた左之が目を細め、空を見上げた。

「そんなにおかしいことだったの?切腹でしょ?死だよ?」

「いや、切腹の話なんて当分してなかったから忘れてたのさ。思い出したらおかしくてな。新撰組にいるときはよく酒飲んではその話してたんだけどなぁ」

 そう言って切った場所であろうお腹を撫でていた。