幽霊の思い出話


 当たり前。私は彼のことを何一つ知らない。

「そっか。だから脱藩とか伊予とか聞いてきたんだね」

 納得したように、うんうんと頷いていた。

「そんなに有名なんですか?」

「伊予の出身で脱藩したっていうのは、新撰組を知ってる人間には割とメジャーな話だと思うよ」

「私歴史って苦手だったから全然知らなくて。正直驚きでした」

「これから勉強していったらいいよ、興味があるならね。図書館とかに本があるから適当に見てみるといいと思うよ」

「ありがとうございます」