幽霊の思い出話


「あっ、えーっと」

 なんとかしてこの話題を反らしたかった・・・。でも難しいみたい。大橋様は目を輝かせたようにずっと私を見てきていた。

「・・・左之ですかね」

「え?」

「原田左之助です」

 私にははっきりとフルネームが言えるのはこの人しかいない。

「あぁ、槍の使い手だった。刀の時代に槍だったってすごいよね」

 本当に楽しそうに話しているのが分かる。

「そうですよね。本当にすごいと思います」

 槍だったなんて初耳だった。適当にしか返事が出来ない。