幽霊の思い出話


「よくもまぁそんなに運転するもんだ。かなり時間がかかるだろうに」

 感心したように頷いていた。

「車が壊れない限り、どこにでもいけますよ」

 グラスにアイスを入れブランデーを注ぎながら、いつものように当たり障りのない返事をした。

「東京はどうだ?楽しかったか?」

「人がいっぱいでしたね。一人でいるのが好きな私には、少し苦痛でしたけど」

 苦笑いをしてみせると、石川様はグラスを置き、豪快に笑った。