幽霊の思い出話


 焦って?何で焦ったの?風呂を覗くような幽霊なんていらないはず。二十四時間傍に居る幽霊なんて、居なくなって清々するはずなのに。

 そんなことを自問自答していると、見透かしたように左之は笑った。

「ふふ、焦らせて悪かったな。でも仕事の時居ない方がいいっていったのは真沙美だろう」

「そうだけど・・・。一言声掛けてからでもよかったのに」

「悪かった」

「うん、いいよ。左之ずっとここに居るの?」

 座ったままの左之は動く気配がなかった。