幽霊の思い出話


「そう。じゃあ、頑張れよ」

 にっこりと笑う。

「はい。あっ、神木さん、これお土産」

 紙袋から一番大きな箱を出し渡した。

「彼女と食べてね。あとでちゃんと貰ったか彼女に聞くから」

「また大きな箱だな」

「二人分だからね」

 そう言ってから部屋を出た。

 そういえば、店に着いてから彼の姿が見えない。左之はどこに行ったの?

 辺りをキョロキョロと見回しても居るような感じではなかった。

「左之?左之?」

 小声で呼び掛けてみるも、返事は全くなかった。